肝がんは、原発性・続発性に分岐し、原発性は肝細胞がんと胆管細胞がんに分岐します。原発性のうち90%以上が肝細胞がんのため、肝がんといった場合には、基本的に肝細胞がんを指します。
本ページでも、以降は肝細胞がんについて取り上げることとします。
肝がんは、原発性・続発性に分岐し、原発性は肝細胞がんと胆管細胞がんに分岐します。原発性のうち90%以上が肝細胞がんのため、肝がんといった場合には、基本的に肝細胞がんを指します。
本ページでも、以降は肝細胞がんについて取り上げることとします。
罹患数・死亡数
罹患数は約3.7万人であり、部位別で7位
死亡数は約2.4万人であり、部位別で5位
原因
従来、ウイルス由来(B型肝炎、C型肝炎)がほとんど
近年は、脂肪肝やアルコール由来のものが増加
症状
肝機能の低下に伴い、黄疸やむくみ、かゆみ、倦怠感
更に進行すると腹部にしこりや圧迫感、痛み
診断
画像検査:腹部超音波・CT・MRI
腫瘍マーカー検査:AFP、AFP-L3分画、PIVKA-Ⅱ
罹患数(人)
集計方法
使用データ:全国がん罹患データ(2016年~2019年)の全国年齢5歳階級別罹患数(2019年)
集計条件:上皮内がんは含まない。結腸・直腸は合計し、大腸とする
X軸:部位(上位10部位を抜粋)、Y軸:罹患数(単位:人)
結果
肝がんの罹患数は7位
部位別トップ5と比べ、罹患数は半分以下であり約3.7万人
死亡数(人)
集計方法
使用データ:全国がん死亡データ(1958年~2021年)の全国年齢階級別死亡数(2021年)
集計条件:結腸・直腸は合計し、大腸とする
X軸:部位(上位10部位を抜粋)、Y軸:死亡数(単位:人)
結果
肝がんの死亡数は5位と比較的上位であり、約2.4万人
肝細胞がんの治療方針は、肝予備能や腫瘍タイプ(位置、数、大きさ)を考慮して決定されます。具体的な治療法には、外科的な肝切除や、ラジオ波で腫瘍部を焼き切るRFA、腫瘍部に繋がる動脈に抗がん剤を含ませたスポンジなどで栓をして抗腫瘍効果を狙うTACE、薬物治療や肝移植、緩和医療などがあります。
肝細胞がんの予後は悪く、5年生存率は30~40%程度に留まります。
肝細胞がんの薬物治療は近年進歩を見せており、2009年から肝がんでは初の分子標的薬であるソラフェニブが使用できるようになりました。 また、最近では免疫チェックポイント阻害剤としてアテゾリズマブやデュルバルマブ、トレメリムマブが使用可能となっています。
1次治療では、アテゾリズマブ+ベバシズマブ、デュルバルマブ+トレメリムマブ、デュルバルマブ、レンバチニブ、ソラフェニブが使用されます。1次治療後、増悪が見られた際は2次治療に移行し、1次治療で使用した薬剤に応じて選択肢が決まります。
製品名 | 成分名 | 販売会社 | 適応 | |
---|---|---|---|---|
テセントリク+アバスチン | アテゾリズマブ+ベバシズマブ | 中外製薬 | 切除不能な肝細胞癌 | 1次治療 |
イミフィンジ+イジュド | デュルバルマブ+トレメリムマブ (デュルバルマブ単剤もあり) |
AstraZeneca | ||
レンビマ | レンバチニブ | Eisai | ||
ネクサバール | ソラフェニブ | Bayer | ||
スチバーガ | レゴラフェニブ | 武田薬品 | がん化学療法後に増悪した 切除不能な肝細胞癌 |
2次治療 |
カボメティクス | カボサンチニブ | Lilly | ||
サイラムザ | ラムシルマブ | Bayer | がん化学療法後に増悪した 血清AFP値400ng/mL以上の 切除不能肝細胞癌 |
免疫チェックポイント阻害剤の使用による免疫関連有害事象への対策作りが課題となっています。また、肝切除後の再発率の高さも問題となっており、術後のハイリスク群に対するアジュバント療法の開発が進んでいるところです。
免疫チェックポイント阻害剤による
免疫関連有害事象(irAE)
肝切徐後の再発率の高さ
(5年間で再発率70%)
※ irAE:免疫チェックポイント阻害剤によって、自身の免疫細胞が活性化し抗腫瘍効果を発揮するが、その免疫反応が過剰になり有害事象を引き起こす
※ 現在、肝細胞がんにおけるアジュバント療法(術後補助療法)が開発中
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